設立趣旨

 走査トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡に代表されるプローブ顕微鏡手法は、表面科学の基本である表面原子構造・モルフォロジーの決定や局所電子状態の帰属同定、さらには表面反応プロセスの分子スケールでの解明等には無くてはならない手法としての地位を確保してきた。さらに、表面電気伝導、表面磁性・スピン、表面超伝導、トポロジカル絶縁体、原子マニピュレーション、固液界面、局所振動分光・励起スペクトル測定、局所電子スピン過渡応答計測など、表面科学の新たな分野開拓にも大いに寄与するなど、これまでの表面科学の発展においても多大なる貢献をしている。

 プローブ顕微鏡もその発明から30余年が経過し、その適応範囲は多岐に渡るとともに、今でもその裾野を拡大させている。適応分野の拡大は、関連する表面研究者の視野を拡げることにもつながるが、一方で、研究対象が発散するに伴い、議論されるテーマが散漫になる傾向もあり、プローブ顕微鏡の巨大なコミュニティが、表面研究者にとっては必ずしも居心地の良い場では無くなりつつある。

 そこで、こうした状況を鑑み、日本表面科学会に新たにプローブ顕微鏡研究部会を設立し、「表面」を軸足に置きつつプローブ顕微鏡を用いた研究に従事する研究者を結集させ、表面研究の立場からプローブ顕微鏡について”熱く”議論できる場を提供する。最先端の研究紹介・情報提供やそれに基づく議論を推進し相互の理解を深めることはもとより、表面研究にかかるプローブ顕微鏡技術の交換を促し、新たな研究分野開拓へ向けての足掛かりとなることを目的とする。

 また、当該分野は、中国・韓国・台湾を始めとするアジア地区の台頭が著しい。この部会をベースとして、アジア地区の表面研究者・プローブ顕微鏡研究者との交流・連携を促進することも視野に入れる。また、表面科学会におけるプローブ顕微鏡コミュニティを代表するグループとして、国内外の同種のコミュニティとの接点・窓口となる役割も担う。研究会などの共催等を通じ表面科学会のアクティビティを広く知らしめることにより、表面科学会の会員数増加にも貢献する。

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このページについて

日本表面科学会の研究部会の一つとして2016年に設立され、 その後、2018年4月の親学会合併に伴い、 日本表面真空学会の研究部会となった「プローブ顕微鏡研究部会」のホームページです。


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