繰返し精度と再現精度とは何が違うのですか

 主な違いは計測装置や操作するオペレータが同じかどうかです.日本産業規格(JIS)[1]では次のように定義されています.なお,「オペレータ」を「グループ」と表現している文献[2]もあります.

繰返し精度(repeatability):「同一と見なせるような測定試料について,同じ方法を用い,同じ試験室で,同じオペレータが,同じ装置を用いて,短時間のうちに独立な測定結果を得る測定の条件」による測定結果の精度.
再現精度(reproducibility):「同一と見なせるような測定試料について,同じ方法を用い,異なる試験室で,異なるオペレータが,異なる装置を用いて,独立な測定結果を得る測定の条件」による測定結果の精度.

 ですので,繰返し精度は最低一人で評価することができます.「同一と見なせる試料」とは,組成や収集・作製方法,経時変化などの観点から評価者が『同じ』と判断できるという意味です. 一方,「異なる試験室で,異なるオペレータが,同じ装置を用いて,独立な測定結果を得る測定の条件」で得られる測定結果の精度は replicabilityと名付けられています[2]が,JISによる日本語の用語は定められておらず復元精度[3]または反復精度[4]と呼ばれたりします. さらに「同じ試験室で,同じオペレータが,異なる装置を用いて,独立な測定結果を得る測定の条件」で得られる測定結果の精度には英日ともに 名称がなくrestorability(再構築精度)との案[3]があります.個々の事情にあわせて,「同じ装置」,「異なる装置」の定義も明確にする必要があるでしょう. 以上を代表的な要素である装置とオペレータ(グループ)の2軸で示すと下記のようになります.

same instrument different instrument
same group repeatability restorability
繰返し精度 再構築精度
different group replicability** reproducibility
復元精度** 再現精度

*:公式な定義はなく執筆者の私案
**:JISでは定義されておらず,web情報[4]を掲載

[1] JIS Z8402-1「測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)− 第1部:一般的な原理及び定義」
[2] Sally L. McArthur, Biointerphases 14, 020201 (2019); doi: 10.1116/1.5093621.
[3] 鈴木峰晴,表面と真空, 65, 100 (2022); https://doi.org/10.1380/vss.65.100.
[4] http://endostr.la.coocan.jp/sci-rep.acad.ReproducibilityandReplicability.htm

(ver. 231201)