日本表面真空学会関東支部
関東支部セミナー

実用顕微評価技術セミナー2023

開催概要

本セミナーは、ナノ材料・デバイスの評価技術として重要な新しい顕微評価技術の展開と促進を図り、 これを通じて産業界に貢献することを目的として、2013年より開催されてきました。
機器メーカーと分析会社のご協力により、口頭発表やポスター展示を併設して、 各種材料・デバイスの顕微評価・解析の向上に役立つ最新技術やノウハウを紹介してきました。
COVID-19の流行以降はオンライン開催も進め、毎回100名を超える参加者を集めています。 本年もまた、幅広い分野の研究者が気軽に参加できる環境を考慮し、オンラインでの開催となりました。 参加登録:以下より参加登録をお願いいたします。
参加登録ページ (聴講用)   (注:入力を締め切りました。当日参加をご希望の方は下記「重要」をご確認ください。)

重要:オンラインアクセスに関する情報について、「7/26 21:30時点で参加登録済の方」に通知済みです
   登録済にも関わらず通知を受領されていない方、当日の聴講希望の方は、末尾の問合せまでご連絡ください。

プログラム

13:00 - 14:00 特別講演:柳田剛 先生 (東京大学・工学系研究科)  「空間選択的な金属酸化物ナノ構造の結晶成長と堅牢な人工嗅覚デバイスへの展開」
 本講演では、精密有機合成のように空間選択的に無機材料を合成する結晶成長技術に関する進展を その本質的なメカニズムを含めて解説をする。さらに、それらの酸化物ナノ構造体表面で生じる 揮発性分子の吸着挙動や化学反応を分光的に調べ、それらの表面分子吸着や反応を活用した堅牢だが "匂い"の揮発性分子群を識別する新しい人工嗅覚デバイスへの展開に関する最近の研究成果について紹介をする。
14:00 - 14:15 企業セミナー:株式会社 住化分析センター  「電子線ダメージを低減した観察・分析のご紹介」
 TEM観察では、有機材料に代表されるように電子線ダメージやコンタミネーションにより観察・分析が困難な材料は多い。 対策として前処理によるダメージ軽減手法を考案、これらの問題を解決した例について紹介する。
14:15 - 14:30 企業セミナー:株式会社 日立ハイテク  「AFMによる電気特性評価の最前線」
 当社が提供するSÆMic.(SEMとAFMで同一箇所を測定する相関解析ソリューション)は、 先端デバイスや先端材料が有する局所電気物性を、より容易に可視化し、詳細なデータ解釈を実現する。 本稿では電気物性測定事例を中心に紹介する。
14:30 - 14:40 (休憩)
14:40 - 15:10 招待講演:數間惠弥子 先生 (東京大学・工学系研究科)  「光STMを用いた化学反応の単分子レベル計測」
 近年、走査トンネル顕微鏡(STM)に光照射を組み合わせた光STMによる分光計測手法の開発が進められている。 銀や金製のSTM探針と基板との間に光照射することで生成する近接場光を利用すれば、 近接場光のエネルギー変換により物質の光応答の増強や化学反応を誘起することができる。 本発表では、光STMを用いた分光計測の中でも、近接場光が誘起する化学反応の単一分子レベル計測 および近接場光による反応生成物の単分子レベル分光計測について紹介する。
15:10 - 15:25 企業セミナー:株式会社 ユニソク  「キャリアダイナミクスを計測する時間分解STM製品の開発」
 半導体材料のキャリアダイナミクスを数十ピコ秒の時間分解能で観察可能な時間分解STMを開発した。 光学系を小型化し、操作性を大幅に改善した。また、長時間安定な光照射を実現し、高分解能測定を可能にした。
15:25 - 15:40 企業セミナー: 株式会社 シエンタオミクロン 「超高真空走査型プローブ顕微鏡(UHV-SPM)の発展」
 UHV-SPMはUHVの優位性を生かし発展してきました。本セミナーでは弊社製品を通して 現在UHV-SPMにおいて行われている研究の成果や開発されたシステムの一例を紹介する予定です。
15:40 - 15:50 (休憩)
15:50 - 16:20 招待講演:今岡享稔 先生 (東京工業大学・科学技術創成研究院)  「電子顕微鏡による金属クラスターの動的構造解明」
 サブナノスケールの微小粒子である金属クラスターは、次世代の触媒材料として近年大きな注目を集めている。 このクラスターが持つ「Fluxionality」という概念、すなわち無数の準安定構造をランダムに行き来するダイナミクスは、 その特異的な物性の鍵になっていると考えられている。こうした描像は、長らく計算化学の世界のみで研究されてきたが、 近年、電子顕微鏡により原子レベルかつリアルタイムで直接観察できるようになってきた。 様々な金属サブナノ粒子の原子配列構造が実験的に観測され、構造的な特徴やダイナミクスを 解析することができるようになれば、金属サブナノ粒子の機能の本質に迫る可能性がある。
 本講演では原子分解能のADF-STEMを用いたクラスターの観察とその構造解析に関する成果を報告する。 原子のx-y座標の追跡に加え、異種原子同士の識別もzコントラストの解析から可能になり、 サブナノスケールのみで現れる特異的な原子配列構造も明らかになった。
16:20 - 17:00 サイエンスアゴラ  「実験"自動化"の事始め ~初手で躓かないために~」
 機械学習やロボットを利用した実験の「自動・自律化」が急速に進みつつある一方で、 これまでの手動の装置群を自動化するために、どこから手をつけてよいのかわからないことも多い。 本企画は「学生の初学者」を想定し、実際に現場レベルで起こりうるトラブル事例と勘所を共有するとともに、 後半では、質疑応答時間を設けて具体的な悩み相談を受け付ける予定である。
17:00 - 閉会の挨拶

問合せ先

清水亮太:shimizu-ryota -at- g.ecc.u-tokyo.ac.jp
("-at-"を@に修正してください)